ボートショーで見つけた面白い実験結果。もっと深く掘り下げてみました。
2017年04月11日 (火) [ボート用品, メンテナンス]
2017ボートショー、ヤマハブースでは次の実験が行われていました。
なんと、船底塗料を塗ったFRP板を10カ月間海に漬け置きした結果です。
塗装不十分と塗装なしは結果は見ての通り。
注目したいのは左の2つの塗料ですので、グググーーっとズームしちゃいましょー
びっしりと藻が付着してます。フジツボの付着はありません。
ブルーラベルは水和分解型と言われるタイプ。
表面から防汚成分が溶け出し、溶け出したあとの表面はスケルトン層と言われる劣化塗膜が残ります。
通常、ボートを走らせたことで起こる水流で剥がれ落ち、新たな表面を作るのですが、静置実験
なので剥がれず、その劣化塗膜の上から藻が付いてしまったようですね。
ブルーラベルが稼働率の低い長期係留艇に向いているというのはこのためで、稼働していない間は
表面の更新が休止するため、塗装の効果が長く持続するのです。
もちろんこの状態からでボート走り出せば藻ごと剥がれていきます。
パワープロテクターのオレンジラベル
藻の付着は一切ありませんでした。
オレンジラベルは加水分解型と言われるタイプ。
海水に漬けると防汚成分と一緒に塗膜も溶け出していきます。
しかし右下に張り付いてるのはフジツボです。FRP板(白い部分)が見えてますね。
メーカー担当者は「もしかしたら、塗装が薄かったかも・・・」と言っていました。
実験失敗じゃん!!
ごほん、まぁ・・さておき。
加水分解型での利点は3つ
・表面の滑らかに溶け出すので凸凹にもならず、走行時の摩擦抵抗を減少できる。
・係留中でも防汚効果が持続し、船底が美しく保てる。
・劣化塗膜が形成されないため、塗り替えの時の工程が楽になる。
しかし、欠点もあります。
・淡水では塗料が溶け出せないので効果がない。
・環境によって早く溶け出し、防汚効果が長く持続しないこともある
・開発されたばかりの塗料のため値段が高い。
ここ近年の各塗料メーカーは、この加水分解型を中心の開発が進められています。
加水分解型はまだ製品として開発をする余地があると考えられているのでしょう。
現に加水分解型は「防汚効果が長く持続しない」と言われていましたが、
このオレンジラベルについては塗料の発色の良くするために、くすんだ色になる
防汚成分(亜酸化銅)を入れていません。にも関わらず10カ月も効果は持続したことは、
メーカー担当者も予想以上の効果と言っていました。
船底塗料、新しい塗料もまた増えてきて奥が深くなるばかりです。
日曜日、運良く晴れた岡﨑公園
さくら満開で気分も最高!
メンテナンス用品担当:仲村渠(ナカンダカリ)