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2馬力船外機でエンジンが掛からない?よくある原因と対策

2024年04月12日 (金) [船外機/エレキモーター]

初めて買った船外機、さっそく海に出て釣りを楽しもう・・・と思っても、
エンジンの掛け方がイマイチ良く分からず、丸一日の時間が無駄になったいう方のお話、良く聞くことがあります。
使いたい時に突然このようなことになり、まさかエンジンの初期不良?! そんなことも脳裏に過ります。

しかし改めて確認してみると、前準備やエンジンの掛け方に問題があることも実は多いんです。

今回は、エンジンの掛からないことでよくある原因と対策についてまとめてみました。
是非ご参考にしていただければと思います。

目次

・原因① スターターロープが正しく引けていない。
・原因② ガソリン濃度が高い
・原因③ エンジンオイル量が多い
・原因④ チョーク、アクセル位置があっていない
・原因⑤ 燃料が正しく通っていない。

 

原因と対策

原因① スターターロープが正しく引けていない。

初めて船外機を使われる方で最も多いのはスターターロープの引き方を間違えているケースです。
エンジンは【吸気・圧縮・燃焼(膨張)・排気】のサイクルでシリンダ内部の状態が変化をします。そのうちスターターロープを引く時はピストンの位置が【圧縮】にある状態から始めると良いとされています。
圧縮とはエンジン内の燃焼室にある吸気と排気の口が塞がり、ピストンが内部でギュッと空気を押し縮めている状態のことです。
その圧縮の位置はどのように見極めるかというと、スターターロープをゆっくりと引いていくと、突然重たくなる場所が見つかります。これが【圧縮上死点】と呼ばれる地点です。
重たい場所が見つかりましたら、一度静かにゆっくりとロープを元に戻します。
そうすることで次にロープを引き始めるときに圧縮上死点からピストンが動きだすため、エンジンがかかりやすくなります。

もし、圧縮上死点の位置以外から始めてしまうと、エンジンが掛かりにくくなるばかりか、突然の衝撃が加わったことでロープのノブが手から離れてしまい、バチン!っと腕や手を痛めることや、最悪は部品破損となった事例もあります。

ロープの引き方についてこちら動画をご覧ください。

また、陸上時ではエンジンはかかるのに海上になった途端にエンジンが掛かりにくくなるといった事例も、ロープの引き方に原因となる場合もあります。
海上の波で上下に揺れているなか、ロープを引くときの姿勢が悪くて思い通りに力が入らないことがあります。
あと、ロープを引くときに釣り竿やタモといった物が周辺にごちゃごちゃとなってロープを引くときの邪魔にいれば、ボートの身の回りを見直しをしてください。

 

原因② ガソリン濃度が高い

燃焼室のガソリン濃度が高くなりすぎるとエンジンは掛かりにくくなります。

濃度が高くなるのは次のような時に起こりやすいです。
・エンジンが十分に暖まっているのにチョークを引いて始動させた時
・チョークを引いた状態でエンストさせた時
・スターターロープを繰り返し何度も引いた時
・エンジンを止めた/エンストした直後

ガソリンは空気との混合気がバランスを取れた状態で発火します。
しかし、上記のようなときには混合気の濃度が高い(ガソリンの割合が高い)状態となります。
これが軽度な状態であれば、チョークノブを押し込み、かつスロットルレバーをやや開いた状態(RESTARTの位置)で始動するとエンジンは掛かりやすくなります。

しかし、エンジンが掛からないからと何度もスターターロープを引き続けてしまうと、状態がますます酷くなりスパークプラグ(点火プラグ)の先端にガソリンが付着してしまい火花が発生できなくなる現象(プラグ被り)の原因となります。
プラグ被りはエンジンを掛けるうえでとても悪い状態です。これを解消する方法としては、燃焼室のガソリン濃度が下がるまで長らく放置するか、プラグを外し、付着したガソリンを拭くという方法もあります。
しかし悠長に待つことも出来ないこともありますし、海上だと塩分を含んだ空気が直接エンジン内に入り込む要因になるため何度も行いたくない方法です。

そうならないようにするためにも、まずはプラグ被りにならないようにするための陸上で始動テストをあらかじめ行い、エンジンが始動させるスロットル位置のポイントを掴んでおくことが良いと思います。

 

原因③ エンジンオイル量が多い

エンジンオイルはピストンの動きを滑らかにする潤滑油として働きますが、エンジンオイルが多すぎると原因②のプラグ被りと同じく、スパークプラグ(点火プラグ)にオイルが付着して火花が発生しない状態になることがあります。

このような時に良くあるのが、マニュアルに記載通りのままエンジンオイルを規定量分を入れてしまうこと。
実は船外機を新品で購入された場合、エンジンオイルが少しだけ入っている場合が多いんです。
生産工場では組み立てたあとに始動点検を行っているのですが、それからエンジンオイルを全て抜くには、もう一度組み立てたものを分解しない限りオイルを抜くことが出来ないからです。
エンジンオイルを入れる時には必ず点検窓を見ながらオイルを入れるようにしてください。

メーカーによって点検窓のオイル上限、下限のラインが異なります。お間違えないようにしてください。

また、エンジンスタンドで立てかけた時、船外機がやや斜めとなるため、僅かですがオイル量に誤差が起きます。必ず垂直な状態を維持してからオイル量を測るようにしてください。

エンジンが掛かっている時や、エンジンを止めた直後は一時的にエンジンオイルの量が減ることがあります。この状態を目安にオイル継ぎ足してしまうとオイル量が上限を超えてしまうことがあります。エンジンオイルの量はエンジンを完全に止めてから10-15分以上は経過した後に確認するようにしてください。

 

原因④ チョーク、アクセルの位置があっていない

チョークノブを引く(閉じる)タイミングはエンジンを掛けるときに行いますが、エンジンが十分に暖まっている時にチョークを引いてしまうとエンジンはかからなくなります。
チョークは空気の通り道を狭めガソリン濃度を上げる役割を果たします。つまり、原因②の状況を意図的に作っているため過度に使用すればプラグ被りを引き起こすことになります。

チョークを引くときの判断は冬の寒い時期や、早朝の初めてエンジンを掛けるときぐらいなもので、それ以外ではチョークを引かなくても良いほどです。
また、チョークを引かない時にはチョークを引くときのスロットル位置よりもやや開けておくとエンジンが掛かりやすくなります。スズキ、トーハツの船外機にはRESTARTの位置が明記しているためそれに合わせます。場合によってはスロットルを微調整して更に開けることでエンジンのかかりも良くなることもあります。

ただし、遠心クラッチ方式であるホンダ2馬力に関しては、アクセルの開け具合によっては始動と共にボートが走り出すこともあるため注意が必要です。

 

原因⑤ 燃料が正しく通っていない。

この原因となる要因は様々ですが、良くあるものだと
・エアベント(通気ノブ)が開いていない。
・燃料コックが開けていない
・燃料タンクに入れたガソリンの量が少ない
・燃料系経路の目詰まり

といったものがあります。初めの二つは初心者によくある開け忘れが原因です。
また、2馬力船外機はガソリンの自らの重さでキャブレターへ流れていきますが、燃料タンクへ入れた量が少ないとキャブレターにガソリンが流れていかずエンジンが掛かりません。
試めしに始動させたいと思い、燃料をほんのちょっとしか入れていない時とかに起こります。

最後に経路の目詰まり。これは船外機にガソリンを入れっぱなしにしていたときや、給油缶に残された古いガソリンを使ったときなどに起こります。
ガソリンは劣化してしまうと、ガム質の沈殿物が生成され、燃料系経路の狭い道を詰まらせる原因になります。
ガソリンは購入から半年以上経過したものは使わないようにしてください。
古いガソリンを破棄する際にはガソリンスタンドで回収してくれます。その他の破棄の方法については各地域の自治体へご相談ください。

船外機はその日に使用したあとは燃料タンクからガソリンを抜き、燃料タンクから抜けきれないガソリンはガス欠で止まるまでエンジンをかけ続けると良いです。
また、キャブレターの下部にはガソリンを貯めておく小さなタンクがあり、タンクの底にはガソリンを抜くためのドレンプラグが付いています。
長期で保管する時にはドレンプラグからもガソリンを抜いておくと良いです。

 


まとめ

以上が、良く見られる始動時に起こるトラブルの原因です。
これら事例もほんの一角に過ぎず、実はまだまだ操作やメンテナンスの問題で引き起こす事例は数多くあります。
この中でも特に多いのが原因①(スターターロープが正しく引けていない。)で失敗し、理由も分からず色々と試しているうちに原因②(ガソリン濃度が高い)へと繋がるケースです。
この二つを起こさないようにするためには、何度もエンジンを掛ける練習を繰り返し始動させるコツを早く掴むことです。
海上に出てトラブルとなる前になるべく早くマスターすると良いでしょう。

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